「No belongs here more than you.いちばんここに似合う人」by Miranda july
を読みました。
孤独な人々の16の物語。
人生は絶望的だけど、みんなその中を生き抜いていく。
なんだか読み出した最初は独特な感じで今までにはない感覚だった。
どこか江國香織に通じるものがある。
でも、ミランダ・ジュライのが柔らかく、優しい。
そしてどこか滑稽で、でもそれが人間らしく、飾らずリアル。
この物語に出てくる人物は、みんな誰かに恋をしている。
人はいつも1人で、孤独で、誰かを好きになって、誰かと共感して、
繋がって、別れて、絶望して、それでもまた歩き出す。
誰もが思っている、感じている現実がちゃんとここにある。
リアルなのにユーモアのあるストーリーが、短い短編なのに
1本の映画を見たような気分にさせる。
私が1番好きになった作品は「何も必要としない何か」という話。
この作品はなんだか90年代の青春系の映画を見たみたいだった。
今から思うとこの小説に出てくるシーンがその頃の映画に出てきたものと
似ていて重なって見えたのかもしれない。
でもストーリーはオリジナル。
かってな想像だけど、ミランダ・ジュライが大学時代、両親に黙ってかってに中退して
高校時代の友達とポートランドに移り住んだときのことが元になっているんじゃ
ないかと思った。
もうひとつ好きな話。「2003年のメイク・ラブ」
不思議なストーリーなのに、なぜか共感してしまう。
懐かしく、切なく、暖かい。
他のストーリーも全て面白い。
ばかげた想像や妄想をしない人間なんていないはずなのに、
みんなそれを打ち明けない。でもミランダ・ジュライはここに打ち明けている。堂々と。
もう1度読み返したくなりました。
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